【令和8年版】キャリアアップ助成金とは?正社員化コースの改正点や年収の壁対策をわかりやすく解説

キャリアアップ助成金とは?最大140万円の受給も可能

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者のキャリアアップを推進するための制度が「キャリアアップ助成金」です。

非正規雇用者は雇用者全体の1/3以上にのぼり、経済の活性化を図るためにも、正社員化や処遇改善を通じて雇用の安定性を高めることが重要視されています。

厚生労働省が公表した最新の制度内容(令和8年4月8日以降)によると、「正規雇用労働者等への転換等に係る所定の情報を自ら管理するウェブサイト又は職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した場合」に20万円(大企業は15万円)が加算される制度が新設されました。そのため、正社員化コースでは活用次第で最大140万円(※)の受給も可能になっています。

さらに、「年収の壁」対策として新設された「短時間労働者労働時間延長支援コース」では、小規模企業であれば最大75万円の受給が可能となるなど、支援体制の強化が図られています。

今回の記事では、令和8年度の最新情報をもとに、正社員化コースに追加された内容や新設コースについて詳しく解説します。また、現時点の各コースの支給額や条件、申請方法も整理して解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

(※中小企業において、重点支援対象者を正社員化(80万円)し、「多様な正社員制度」を新たに規定(40万円)、「情報公表加算」を適用(20万円)した場合)

この記事の目次

キャリアアップ助成金とは


キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの「非正規雇用労働者」について、企業内でキャリアアップを推進する助成金です。非正規雇用労働者の「正社員転換」や「処遇改善」を目的としています。

キャリアアップ助成金は、労働者の能力向上を支援するだけでなく、企業の競争力向上や労働市場の活性化にも寄与する重要な制度です。

令和8年4月8日の制度改定では、「正規雇用労働者等への転換等に係る所定の情報を自ら管理するウェブサイト又は職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した場合」に20万円(大企業は15万円)が加算される制度が新設されました

これは、自社の非正規雇用労働者の正社員転換等に関する情報(制度の概要、直近3事業年度の転換実績、転換までに要した期間など)を公表することで、受給額が増える仕組みです。

キャリアアップ助成金の「対象となる事業主」

キャリアアップ助成金の対象となるのは、以下の全ての条件に当てはまる事業主です。民間の事業者のほか、公益法人、NPO法人、医療法人、社会福祉法人なども含まれます。

令和7年の制度変更により、キャリアアップ計画の手続きが「認定制」から「提出(届出)制」へ移行し、事務負担が軽減されています。

①:雇用保険適用事業所の事業主
②:雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
(※キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。)
③:雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に「提出」した事業主
④:実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
⑤:キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主
(支給申請時点で各コースに定めるすべての支給要件を満たしている事業主)

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)

キャリアアップ助成金が支給される「中小企業事業主の範囲」

キャリアアップ助成金は、中小企業と大企業で支給金額が異なります。令和8年4月8日に新設された「情報公表加算」においても、中小企業の方がより手厚い助成を受けられるよう設定されています。

主に資本金や出資金の額で大企業と中小企業の範囲が分けられますが、資本金や出資金がない事業主においては、常時雇用している労働者の数で判断されます。

業種 資本金額・出資額の総額または常時雇用する労働者数
小売業(飲食店を含む) 資本金5,000万円以下または労働者50人以下
サービス業 資本金5,000万円以下または労働者100人以下
卸売業 資本金1億円以下または労働者100人以下
その他の業種 資本金3億円以下または労働者300人以下

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)

キャリアアップ助成金の重要ポイント

2026年年度キャリアアップ助成金では、企業の透明性向上と「年収の壁」対策が重点化されています。特に「非正規雇用労働者情報開示加算」の拡充は、正社員化や賃金引上げとセットで取り組むことで受給額を最大化できる重要なポイントです。

主要な変更点と現在の運用
  • 1.正社員化コース:区分による助成額の最適化と情報開示加算の拡充
  • 2.賃金規定等改定コース:引上げ率による細分化と昇給制度加算の定着
  • 3.支給対象者:非正規期間が長い労働者への重点支援(新規学卒者等の除外)
  • 4.事務手続き:事前認定を待たない完全「届出制」への移行

出典:厚生労働省「令和8年度概算要求の概要(キャリアアップ助成金)

1.正社員化コースの区分・助成額と最新の加算措置

支給区分は、「重点支援対象者」に該当するかどうかで4区分に分かれています。 令和8年4月8日の制度改定により、「正規雇用労働者等への転換等に係る所定の情報を自ら管理するウェブサイト又は職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した場合の加算(情報公表加算)」が新設され、中小企業で20万円が加算されます。

対象者区分 雇用形態転換 助成額(中小企業)
重点支援対象者 有期→正規 80万円
無期→正規 40万円
重点支援対象者外 有期→正規 40万円
無期→正規 20万円
【新設】情報公表加算 20万円(大企業15万円)

※助成額は1人あたりの金額

情報公表加算は1事業所当たり1回のみ適用されます。

自社の正規雇用労働者への転換制度の概要、直近3事業年度の転換等した実績、および転換等までに要した平均期間・最短の期間を公表することが受給要件となります。公表場所は、自ら管理するウェブサイトまたは厚生労働省が運営する「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」です。

重点支援対象者とは以下のとおりです。

a: 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
b: 雇入れから3年未満で、次の①②いずれにも該当する有期雇用労働者
  ①雇い入れの日の前日から起算して、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
  ②雇い入れの日の前日から起算して、過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
c: 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
※雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者は無期雇用労働者とみなされます(aには該当しません)。

2.賃金規定等改定コースの細分化と昇給制度加算

有期雇用労働者等の基本給を3%以上引き上げた場合に受給できます。引上げ率に応じて助成額が4段階に設定されています。

賃金引上げ率 助成額(中小企業)
3%以上4%未満 4万円
4%以上5%未満 5万円
5%以上6%未満 6.5万円
6%以上 7万円

※金額は1人あたりの支給額です。

また、有期雇用労働者等の昇給制度を新たに設けると、1事業所当たり1回のみ20万円(大企業15万円)が加算されます。

3.支給対象者の範囲変更(適正化)

非正規雇用のキャリアアップを目的とするため、新規学卒者で雇入れから1年未満の場合は、原則として支給対象外となっています。

4.キャリアアップ計画書の「提出(届出)制」への移行

以前は労働局長による事前「認定」が必要でしたが、現在は「提出」のみで手続きが完了します。認定を待たずに速やかに取り組みを開始できるようになっています。

【令和8年度最新版】キャリアアップ助成金の正社員化支援は2コース


キャリアアップ助成金の中でも、非正規雇用労働者の正社員雇用を推進する「正社員化支援」には、「正社員化コース」と「障害者正社員化コース」の2つのコースがあります。

ここからは令和8年4月8日の制度改定など最新情報も踏まえ、それぞれのコースについて詳しく解説します。

正社員化コース

キャリアアップ助成金の中でも、非正規雇用労働者の正規雇用への転換または直接雇用を支援する「正社員化コース」は最も活用されているメニューです。1年度につき、1事業所あたり20名まで申請可能です。

このコースは、有期雇用労働者、無期雇用労働者、または派遣労働者を正規雇用労働者に転換、あるいは派遣労働者を派遣先で直接正規雇用した場合に助成金を受け取れます。勤務地限定・職務限定・短時間正社員といった「多様な正社員」への転換も対象となります。

令和8年4月8日の制度改定では、自社の正規雇用への転換等に関する情報を公表した場合に受給できる「情報公表加算(中小企業20万円、大企業15万円)」が新設され、活用次第で受給総額のさらなる底上げが可能になっています。

正社員化コースの「支給額」と「加算額」

支給額(中小企業の場合)
条件 区分 支給額(1人あたり)
有期雇用→正規雇用 重点支援対象者 80万円(40万円×2期)
その他 40万円(一括)
無期雇用→正規雇用 重点支援対象者 40万円(20万円×2期)
その他 20万円(一括)
加算額
条件 加算額 ※カッコ内は大企業の額
【新設】情報公表加算
※正規雇用労働者等への転換等に係る所定の情報を自ら管理するウェブサイト又は職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した場合(1事業所当たり1回のみ)
20万円(15万円)
正社員転換制度を新たに規定し、転換等した場合
(1事業所当たり1回のみ)
20万円(15万円)
多様な正社員制度を新たに規定し、転換等した場合
(1事業所当たり1回のみ)
40万円(30万円)

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)

障害者正社員化コース

障害者の雇用促進を目的とした「障害者正社員化コース」では、障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換または直接雇用した場合に助成金が支給されます。

障害者正社員化コースの「支給額」

企業規模 条件 支給額(1人あたり)
重度の身体・知的障害者、精神障害者 重度以外の身体・知的障害者、発達障害者、難病患者等
中小企業 有期→正規 120万円(60万円×2期) 90万円(45万円×2期)
有期→無期 60万円(30万円×2期) 45万円(22.5万円×2期)
無期→正規 60万円(30万円×2期) 45万円(22.5万円×2期)
大企業 有期→正規 90万円(45万円×2期) 67.5万円(33.5万円+34万円)
有期→無期 45万円(22.5万円×2期) 33万円(16.5万円×2期)
無期→正規 45万円(22.5万円×2期) 33万円(16.5万円×2期)

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内」

【令和8年度最新版】処遇改善支援を目的としたキャリアアップ助成金


キャリアアップ助成金では、非正規雇用労働者の労働条件の改善を支援する「処遇改善支援」の助成金もあります。

なお、令和8年4月8日に新設された「情報公表加算」は正社員化コースのみの措置であり、処遇改善支援の各コースでは活用できませんのでご注意ください。

処遇改善支援とは、次の4コース(+経過措置1コース)です。

  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 短時間労働者労働時間延長支援コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月末で終了・経過措置)

1つずつ詳しく解説していきます。

賃金規定等改定コース

賃金規定等改定コースは、非正規雇用労働者の基本給の賃金規定を見直し、3%以上増額した際に受給できる助成金です。

賃金規定等改定コースの「支給額」と「加算額」

支給額(1人あたり)
企業規模 賃金引き上げ率
3%以上4%未満 4%以上5%未満 5%以上6%未満 6%以上
中小企業 4万円 5万円 6.5万円 7万円
大企業 2.6万円 3.3万円 4.3万円 4.6万円
加算額
条件 支給額
職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合
(1事業所当たり1回のみ)
20万円(大企業15万円)
有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した場合
(1事業所当たり1回のみ)
20万円(大企業15万円)

賃金規定等共通化コース

賃金規定等共通化コースは、非正規雇用労働者に対して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成・適用した際に、受給できる助成金です。

賃金規定等共通化コースの「支給額」

企業規模 支給額(1事業所あたり)
中小企業 60万円
大企業 45万円

賞与・退職金制度導入コース

賞与・退職金制度導入コースは、有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を新たに導入し、支給またはそのための積立てを行った場合に受給できる助成金です。

賞与または退職金制度のいずれかを導入した場合に以下の「基本額」が受け取れ、双方を同時に導入すると「加算額」がプラスされます。本コースの支給は1事業所につき1回のみです。

賞与・退職金制度導入コースの「支給額」と「加算額」

いずれかの導入で基本額が支給され、双方同時導入で加算がプラスされます(同時導入時の合計受給額は中小企業で最大56.8万円となります)。

支給額(1事業所あたり)
企業規模 賞与または退職金制度のいずれかを導入
中小企業 40万円
大企業 30万円
加算額(1事業所あたり)
条件 加算額
賞与および退職金制度を同時に導入 16.8万円(大企業12.6万円)

社会保険適用に関連するコース(令和8年度の運用)

いわゆる「年収の壁」対策として、2025年(令和7年)7月に新設されたコースが令和8年度も継続されています。

1. 社会保険適用時処遇改善コース(経過措置)

手当支給や労働時間延長により、社会保険加入による手取り減少を防ぐ取り組みを支援するコースですが、令和8年(2026年)3月31日をもって新規の対象期間は終了しました。現在は「経過措置」として、期限までに社会保険の適用を行った対象労働者に関する支給申請等の運用のみとなっています。令和8年4月以降に新たに社会保険を適用する場合は、以下の「短時間労働者労働時間延長支援コース」を活用してください。

2. 短時間労働者労働時間延長支援コース

「年収の壁」対策の当分の間の暫定措置として、2025年(令和7年)7月に新設されたコースです。週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用させた場合に助成されます。

取組
年数
要 件 1 人当たり助成額
週所定労働時間の延長 賃金の増額 小規模企業 中小企業 大企業
1年目 5時間以上 50万円 40万円 30万円
4時間以上5時間未満 5%以上
3時間以上4時間未満 10%以上
2時間以上3時間未満 15%以上
2年目 労働時間を更に
2時間以上延長
25万円 20万円 15万円
基本給を更に5%以上増加または昇給、賞与もしくは退職金制度の新たな適用

特に小規模企業への支援が手厚く、最大75万円(1年目50万円+2年目25万円)の受給が可能です。

令和8年度からのキャリアアップ助成金変更点まとめ

  • 情報開示加算の4倍増:厚生労働省の「しょくらぼ」等での公表により、中小企業なら従来の5万円から20万円が加算する案が示されています
  • 適用範囲:情報開示加算は、キャリアアップ助成金の各コース共通(1事業所1回のみ)で活用可能です。

出典:厚生労働省「令和8年度概算要求の概要(キャリアアップ助成金)

短時間労働者労働時間延長支援コースについて、詳しくはこちらの記事を>>
【2025年7月新設】働き控え解消に!キャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」で106万・130万の壁対策を

【令和8年度最新版】キャリアアップ助成金に必要な「キャリアアップ計画」のポイントや計画書の書き方


キャリアアップ計画とは、非正規雇用労働者のキャリアアップを推進するための計画です。

キャリアアップ助成金を申請するには、コースごとに適したキャリアアップ計画を立てる必要があります。立案後はキャリアアップ計画書に落とし込み、管轄の労働局へ提出(届出)しなくてはなりません。

なお、令和8年4月8日の制度改定では、正社員化コースにおいて「情報公表加算」が新設されました(中小企業20万円、大企業15万円)。加算を受けるには、計画書に記載されたキャリアアップ計画期間中に、自ら管理するウェブサイトまたは厚生労働省が運営する「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」での情報公表が必要となる点に注目しましょう。

コースの趣旨や実施期間に沿った取り組みを考案する

非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する、具体的な取り組み内容を考案します。利用するコースの趣旨を確認し、それぞれに沿った取り組み内容を計画しましょう。趣旨から大きく逸れていると、助成金を受給できない恐れがあります。

取り組み期間は3年以上5年以内を設けなくてはなりません。5年間の期間満了後もキャリアアップ計画を継続する場合は、新たな計画書の提出が必要です。

また、計画の対象となる労働者の意見が反映されるよう、雇用保険適用事業所における「すべての労働者の代表」からしっかり意見を聴取して作りましょう。

計画の全体的な流れを決定する

キャリアアップ計画書には、計画の全体的な流れを記載する必要があります。時系列に沿って全体の流れを決めておけば、計画書をスムーズに作成できるのです。

取り組みは長期的に行うこととなるため、いつからいつまでにどのような施策を講じるかを念頭に置き、順序立てて計画しましょう。

キャリアアップ管理者を決める

キャリアアップ計画を管理・推進する「キャリアアップ管理者」を雇用保険適用事業所ごとに決める必要があります。

キャリアアップ管理者は複数の事業所の兼任や、労働者代表との兼任ができません。兼任できないことを踏まえた上で、事業所の労働者・事業主・役員のいずれかから、必要な知識および経験を有している者を選任しておきましょう。

必要な情報を計画書に記入する

キャリアアップ計画書に必要な情報を埋めていきます。計画書の様式は、キャリアアップ助成金のホームページからダウンロード可能です。

また、雇用関係助成金ポータルを通じた電子申請(キャリアアップ計画書、支給申請書)の場合、GビズIDの活用により事業所情報などの一部の記載項目を省略できます。詳細につきましては、厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」をご確認ください。

以下では、(様式第1号(計画(全コース共通)))の記入例を見ていきます。

「①キャリアアップ計画期間」と「②講じる措置の項目」については、申請コースに該当する情報を記入・選択してください。

以降、上記で選択したコースの計画について、該当箇所を記入・選択して添付します。

取り組みの前営業日までに「提出」を済ませる

作成したキャリアアップ計画書は、コース実施日の前日までに管轄の労働局やハローワークに提出します。

令和7年度以降、手続きは従来の「認定制」から「提出(届出)制」へ移行しました。これにより、以前のように労働局からの認定を待つ必要がなく、提出後すぐに取り組みを開始することが可能になっています。

ただし、提出期限の前日が行政機関の休日にあたる場合はその翌日までとなりますが、祝日や土日が近い場合は十分に注意し、前営業日までに提出できるよう余裕を持って準備をしておきましょう。電子申請であれば、メンテナンス中を除き窓口が閉まっている曜日・時間も申請できます。

取り組みを変えたら変更届を労働局に提出する

キャリアアップ計画は取り組み前の予定となる計画なので、キャリアアップの過程で内容が変わることもあるでしょう。その場合は随時内容を書き換えても問題ありません。

ただしキャリアアップ計画の「表紙」「共通事項」「キャリアアップ管理者情報」「計画」のいずれかに変更が生じた際(新たに取り組むコースを追加する場合など)には、速やかに「キャリアアップ計画変更届」を提出する必要があります(※既に提出していたコース内で取組内容のみを変更する場合は提出不要です)。変更届を提出せずにキャリアアップ計画を変更した場合、助成金を受給できない可能性があるので十分に注意しましょう。

取り組み後に6か月分の賃金を支払う

キャリアアップ計画に基づいた取り組みの実施後、コースの要件に沿って6か月分の賃金の支払いを済ませます。正社員転換支援に関するコースの場合は、正社員転換前と比べて3%以上賃金を増額させることが要件となります。

6か月分の賃金の支払いを終えたら、キャリアアップ助成金の申請手続きに進むことができます。計画書の提出や取り組みだけでなく、実際に賃金の支払いを終えてから申請できる点を踏まえておきましょう。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)

キャリアアップ助成金の「申請方法」

キャリアアップ計画の届出と取り組み、そして賃金の支払いが無事に完了したら、賃金支払日の翌日から2か月以内にキャリアアップ助成金を申請します。

申請方法は、助成金申請サイトを利用した「電子申請」が推奨されています。令和7年度より事務手続きの簡素化が進み、電子申請を活用することで一部の書類や記入項目を省略できるようになっています。

電子申請で行う方法(推奨)

助成金申請サイト「雇用・労働分野の助成金電子申請システム」にて、オンラインでの支給申請が可能です。

電子申請を行うには、デジタル庁が発行している認証システム「GビズID(gBizIDプライム)」が必須となります。IDの取得には一定の期間(通常2週間程度)を要するため、取り組み開始前の「計画届出」の段階で早めに取得しておきましょう。

電子申請を活用すると、過去に提出した情報が自動で反映されるなど、支給申請書作成時の入力項目を大幅に簡略化できるメリットがあります。詳細な省略項目については、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」をご確認ください。

紙書類で提出する方法

紙書類で申請する場合は、厚生労働省のホームページから各コースの「支給申請書様式」をダウンロードし、必要事項を記入します。

完成した申請書は、必要な添付書類(賃金台帳、就業規則の写し、雇用契約書など)を添えて、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局へ郵送または持参により提出します。

なお、令和7年度の改正以降、従来の「認定」手続きが「届出」へ変わったことで、窓口での確認作業が迅速化されていますが、書類不備による差し戻しを防ぐため、事前に管轄労働局の助成金窓口へ相談することをお勧めします。

申請期限の厳守

いずれの方法でも、「賃金支払日の翌日から2か月以内」という申請期限を1日でも過ぎると受給できなくなります。特に「正社員化コース」などで2回に分けて支給される場合は、それぞれの期ごとに申請期限があるため十分に注意してください。

出典:厚生労働省「令和8年度概算要求の概要(キャリアアップ助成金)

キャリアアップ助成金が支給されない「5パターン」

キャリアアップ助成金は、申請要件を満たせば受給できる助成金です。しかし申請要件を満たしたつもりでも、思わぬ理由で不支給判定となる場合があります。

特に令和8年度では、「情報開示加算」の要件厳格化のためため、情報の公表内容に虚偽や不備がある場合も厳しくチェックされる可能性があります。ここからは、キャリアアップ助成金が支給されない事例を5パターンで解説します。

パターン1:労働関連の法令違反がある場合

支給申請日の前日から過去1年間に労働基準法をはじめとする労働関連の法令違反がある場合は、キャリアアップ助成金を受給できません。残業代の未払いや、36協定の未届なども違反の対象となるため、事前の社内点検が必須です。

パターン2:実地調査を拒否した場合

キャリアアップ助成金の申請後、申請内容と実態(本当に対象者が正社員として働いているか等)を確認するために実地調査が行われることがあります。予告なく行われる場合もありますが、これを拒否すると助成金を受給できなくなります。

パターン3:書類の修正、再提出に応じなかった場合

申請書類や添付書類(賃金台帳や出勤簿、情報開示の実績がわかる資料等)に不備があると、労働局から修正や再提出を求められる場合があります。労働局が指定した期日までに適切な対応を行わなければ、不支給となります。

パターン4:過去の不正受給から5年以内の場合

本来受け取れないはずの助成金を不正に受け取った事業主は、5年間はキャリアアップ助成金の支給対象外となります。これには、厚生労働省管轄の他の雇用助成金での不正受給も含まれます。

パターン5:受給後の会計検査・実態確認へ協力しなかった場合

助成金の支給後であっても、会計検査院による検査や、労働局による事後調査が実施されることがあります。調査に協力しない場合、受給した助成金の返還を求められることがあります。不意の検査に対応できるよう、関係書類は支給決定日から少なくとも5年間は大切に保管しておきましょう。

まとめ・最新のキャリアアップ助成金について条件や取り組みを理解しておこう

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の能力向上を支援するだけでなく、事業の競争力や企業価値の向上に繋がる可能性があります。

さらに非正規雇用労働者の待遇を改善することで、優秀な人材の確保にも役立つのです。

よくある質問

Q. キャリアアップ助成金は、アルバイトや契約社員でも対象になりますか?

A. はい、非正規雇用の従業員も対象になります。記事では、契約社員やパート・アルバイトを正社員化した場合に活用できる「正社員化コース」が代表例として紹介されています。

Q. キャリアアップ助成金は、正社員登用前に申請が必要ですか?

A. はい、事前準備が重要です。キャリアアップ計画を作成し、労働局へ提出したうえで制度を実施する必要があるため、登用後の申請では対象外になる可能性があります。

Q. キャリアアップ助成金の正社員化コースはいくら受給できますか?

A. 正社員化コースでは、対象者や企業規模に応じて助成額が設定されています。記事では、有期雇用社員を正社員転換した場合に中小企業が受給できる制度として紹介されています。

Q. キャリアアップ助成金は、社会保険に加入していないと申請できませんか?

A. はい、社会保険や雇用保険への適切な加入は重要です。記事でも、助成金は労務管理が適正であることが前提条件とされており、未加入状態では審査で不利になる可能性があります。

Q. キャリアアップ助成金は、個人事業主でも利用できますか?

A. はい、個人事業主でも利用可能です。雇用保険適用事業所であり、要件を満たす従業員を雇用していれば申請できます。法人化していなくても対象になる点が特徴です。

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